『地下型の巣箱』のひとり言 T


「オウム」のこと

 ある晴れた日の昼頃、一目で狼狽しているとわかる高齢のご夫妻に出会いました。
事情を聞くと「オウム」が逃げてしまったということです。
とても慣れていて我が子同然の「オウム」だそうです。
 憔悴しきったご夫妻の視線の先の、遠くの屋根に、ハトより大きめの真っ白な鳥がこちらを向いてとまっています。
でも、どうしてあげることも出来ませんでした、、、、。

あとで、
「オウム」が家に帰ってきたことをご夫妻から聞きました。

良かった!!

 「オウム」は、あんまり天気が良いんで、大きく羽ばたいてみたかったのでしょう。
 だけど、安心して寝ることが出来る『自分の家』がご夫妻の元に有るのを、良く知っていたのです。
 動物は正直です。



「Moco」が教えてくれた『ハムスターの本当の家』


 私がハムスターの新しい『巣箱』=『家』を作るために、放し飼いを試していた頃、 「Moco」と言う名前のハムスターがいなくなってしまったことがあります。
 数日姿を見せなかったので諦めかけたころ、二軒となりの家のお嬢さんの部屋のベットの下に巣作りしていました。
 このころ、私がハムスターを飼育していることを皆が知っていたので、『入澤さんとこのハムスターだ』ということで、 小箱に入れて届けてくれました。

 「Moco」が私に言いたかったことは、

『自分で作った家に住みたいんだ!! 』

ということです。
つまり、私が試していた【ハムスターの家】は【失格】だったのです。

 ハムスターが住みたいと思う家、それは、ハムスターに教えてもらうのが一番です。
 このとき私は、【ハムスターの家】を以下のように【定義】しました。
【ハムスターの家とは、ハムスターがたとえ何処にいても、ハムスター自身の判断で帰ってくる家であること】

【定義】なんて、おおげさでした。
巣を持つ動物は皆、自分の意思で巣に帰って来るんですから。
【帰巣本能】があるので、帰って当たり前です。
帰らないことの方が、不自然なことでした。

 この後、この【定義】に基づいて、【ハムスターの家】として完成したのが『地下型の巣箱』です。

自分で寝床を作った寝室が有って、
集めた食べ物が沢山貯蔵してある貯蔵室が有って、
トイレ室もあって清潔で、
安全で住み心地の良い家があれば、
あのオウムのように、ちゃんと戻ってきます。

  飼育ケースの縁にタオルを垂らしておくと夜中にそこから外出します。
 家中を走り回って部屋中探検して、朝にはちゃんと『地下型の巣箱』に戻って熟睡しています。
 私が部屋の何処かに隠し置いてあげる食料を必ず探し出します。朝には【貯蔵室】にちゃんと収まっています。
 ハムスターは夜中に一定量の食料を見つけて巣に持ち帰ると、とても満足するようです。
 そして、『地下型の巣箱』で熟睡するハムスターは、人にとても良く馴れることがわかりました。
 呼べば出て来るようになりますし、危険でないことを納得すれば、手から登ってくるようになります。
 これは、ストレスが無くなると、もともと有る好奇心が顕在化するのだと推測しています。
 ハムスターは好奇心がとっても強いので、巣箱の外に気になることがあると、確かめずにはいられなくなって、
 ついつい顔を出してしまいます。

本当のコミュニケーション

 ここからが皆さんとハムスターとの対等の、本当のコミュニケーションの始まりです。
 なぜ対等か?、、、
それは、
「出てこなくても良い自由」という選択肢が
ハムスターの方にあるからです。

 嫌なら出てこなければ良いのですから、、、それなのに、、、、

出てきた!!

 ということは?、、、、

ハムスターの方からコミュニケーションを求めてきた証です。

 感動することが、
それはもう、盛り沢山です。
 なんていったって、
ペットの中で楽しくコミュニケーションがとれる最小の哺乳動物なんですから、、、。

 そして、『地下型の巣箱』で生活するハムスターはのびのび元気に育ちます。
 私のハムスターたちは全員健康で病気知らず(※)です。


『地下型の巣箱』のひとり言 U

 ある人が言いました。
 『ハムスターを飼育ケースで飼うのは、ライオンを檻の中で飼うのと同じで、監禁しているようなもんだ!!』
『逃げ出したいに決まってる!! 』

ショックでした。

確かに、従来の飼育方法で説明している飼育環境にいるハムスターは、逃げ出そうとして必死の行動を見せます。

 従来の飼育方法でハムスターを飼育している皆さんの誰もが、
ハムスターを【監禁しよう】などと思っていないのは明らかです。
しかし『脱走させないようにしましょう』とか、
『逃げ出さないようにしましょう』言う注意書きが有る通り、
逃げないように気をつけている方は多いと思います。

○逃げ出したくて必死になっているハムスターを、逃げ出させないようにしている人。
⇒ハムスターにとって悪い人

○ハムスターを可愛がって、仲良くなりたいと願っている人。
⇒ハムスターにとって良い人

良い人と悪い人が同居してしまう飼育方法、これって明らかに、なにか変です。

なんでそうなってしまうのでしょうか?

飼育書やホームページで説明している通りに、皆さんはやっているのに、です。
飼育セットを買ってきて、説明書の通りにやっているのに、です。

でも、現実は、、、、、
そこから逃げ出したくて必死になっているハムスターがそこにいます。
時にはそのストレスで病気になったり、死んでしまったりするハムスターもいます。

こういうハムスターを、外に出してあげたら、あの「オウム」のように、、、戻ってきてくれるのでしょうか?

実は戻ってきません。

外は、危険がいっぱいで、
食べ物も無く、
一人で暮らせるはずがないのに、戻ってきません。

帰巣本能があるハムスターがなぜ戻ってこないのでしょうか?

答えは明確です。
ハムスターがそこを巣=自分の家と認識していないからです。


この疑問も、『地下型の巣箱』を作った動機の一つです。


答えが分かりました。
従来の飼育書では、ハムスターにとって大切な【巣】=【家】の項目が無かったのです。

そうです。今までの飼育ケースには、ハムスターが【自分の家】と思う【巣】が無かったのです。
ハムスター自身が、『自分の家だヨ!!』と言う家さえあれば、ハムスターは必ず帰って来ます。

帰ってきました

『地下型の巣箱』に、
自分で【寝室】を作って、
【貯蔵室】を作って、
【トイレ室】を作ったハムスターが住む飼育ケースの縁にタオルを掛けておきました。
ハムスターはタオルを伝ってケースの外に出ました。家中探検です。
朝、『地下型の巣箱』を覗いたら、寝室で満足そうに熟睡していました。

この行動は、難しいことではなかったのです。
ハムスターの習性を正しく知れば、当たり前のことだったのです。
ハムスターは夜走り回って明るくなる前には家に帰って来る動物ですから。
タオルを登って自分の家に戻った、ごく自然な行動だったのです。

●自分で作った寝心地良いベットの寝室がある自分の家。
●セッセと集めた食べ物を貯めた貯蔵室がある自分の家。
●敵に侵入されることが無い安全な家。
ハムスターだって人とおんなじなんです。
こんな【家】があれば帰ってくるのは当然です。


最後まで読んでいただいてありがとうございました。
このコーナーは、皆さんに放し飼いをお薦めするもので決してはありません。
例え、ハムスターが何処に居ても、 【自分の家】と認識し、帰ってくるような家をハムスターに与えるという飼育方法があることを知っていただくものです。
 そして、
【自分の家】に住むことでストレスから開放されたハムスターが、
私たちとすばらしいコミュニケーションをとってくれることを知っていただきたい思いをお伝えしたかったのです。
そしてもうずいぶん沢山の方々にこの飼育方法の楽しさを体験していただいています。



(※)『地下型の巣箱』で生活するハムスター達が病気になりにくいということは、 一匹も病気にした事がない私の体験や、『地下型の巣箱』愛用者の皆様からの報告などによるものです。
 




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