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ハムスター 共食い

≪研究報告≫
  
   
             
  

飼育環境が悪いと、ペットのハムスターは共食いをすることが有ります。

しかし、母ハムスターが子供を食べてしまう子喰いは、ハムスターの本能と習性を知って、正しく飼育すれば、ハムスターが子食いをするようなことは、 決してありません。

共食いについて多くの方から質問と報告をいただきます。
この報告を分析して、なぜハムスターに共食いが起きるかを推測いたしました。
正確な分析は動物学の専門家にお願いするとして、ここでは、 『地下型の巣箱』入澤の推察を報告をいたします。

一般の飼育環境で起きる共食いは、

@一つの飼育ケースに2匹を一緒に飼育しているとき、一方がもう一方を噛み殺してしまう。

A母ハムスターが子供を食べてしまう。


の二つです。

なお、ペットショップなどで狭い空間に多数を入れておいたときに起きる共食いについては、 空腹や喧嘩など様々な原因が考えられること、一般家庭では起きない環境であるので、 ここでは上記2件についての考察を述べます。

@一つの飼育ケースに2匹を一緒に飼育しているとき、一方がもう一方を殺してしまう。

【原因】

ハムスターの本能と習性である縄張りを守る行動と、逃げ場の無い狭い空間が原因と考えられます。

【推察と解説】

大人になったハムスターは、巣離れして、地下の巣穴に巣を作ります。
しかし、地下に営巣するピレーリードックやウサギのような集団行動をしません。
一匹だけで生活します。
そして、かなり広い範囲を自分の縄張りにして、他のハムスターの侵入を防止して警戒を怠りません。
警戒方法及び 侵入防止方法はオシッコによるマーキングです。この行動は犬のマーキング行動にとても良く似ています。 臭腺によるニオイ付け行動はあまり見ることができません。

このような本能と習性を持ったハムスターを同じ飼育ケースで飼育したら、 強い方が弱い方を追い出そうとして争いが起こります。
自然界においては、この争いに負けた方が縄張りから出て行くことによって、争いが終わるので、 双方とも命を落としたり致命的な傷を負うことはありません。
飼育ケースの中でも同じことが起きます。
強い方は、逃げ出すまで攻撃を続けます。
弱い方は、逃げ出したいのに逃げ出すことができません。
結果、弱い方は殺されるまで攻撃されることになります。
この時、弱い方は、恐怖とストレスによって死んでしまうのではないかと、推察しています。
なぜなら、【致命的な傷が見当たらない】という多くの報告例をいただくからです。
よって、これは、共食いと言う範疇には入らないかもしれません。
もしかしたら、死んでしまった後に食べるかもしれません。

【防止方法】

一つの飼育ケースに1匹だけ飼う事で解決します。

A母ハムスターが子供を食べてしまう。

【原因】

『食料不足』あるいは飼い主の『侵入』あるいはその両方

【推察と解説】 ≪事例報告≫

母親が子供を食べてしまう報告は、多くの動物で観察されることであり、動物学者による研究報告があります。
ウサギの母親は、食料が乏しくて、子供たちを育てることが出来ないと判断すると、子供を食べてしまうという研究報告が代表的です。
ウサギの場合には、胎内に居る時に子育てが出来ないと判断すると、 胎内で消化吸収してしまうという報告もあります。

ハムスターの母親が子供を食べてしまうのは、
@食料が不足していて、子供たちを育てられないと判断した時です。
ただし、これは、【母親が空腹のために子供を食べる】と言うのでは、絶対にありません。

≪母ハムスターの行動観察≫

ハムスターの母親は、出産間近になると、食べ物の貯蔵活動がとても活発になります。
ハムスターは日頃から食べ物を貯蔵する本能と習性がありますが、 その行動が、にわかに活発になり、貯蔵室がいっぱいになるほど貯蔵します。

ハムスターは赤ちゃんを10匹も産むことがあります。
この赤ちゃんを10〜15グラムくらいになるまで母乳で育てます。
つまり、母ハムスターは小さな身体で、実に150グラム以上のミルクを生産して 子供たちに与えていることになります。
そのためには、150グラム以上の食べ物を食べなければなりません。
さらに、 子供たちが自分で食べるようになったら、その食べ物も貯蔵室に貯蔵しておかなければなりません。
子供たちが巣立つまでには30グラムくらいまで育ちます。
これにも数百グラムの食べ物が必要です。
これらの食べ物の全てを母ハムスターが用意します。

子育て中の母ハムスターの行動を良く観察すると、 巣穴の外に出て活動する時間がとても短いことが分かります。
これは、敵に食べられてしまう危険を最小限にしようとしているのだと推察しています。
自分が食べられてしまったら、子供たちも飢えて死んでしまうことを本能で知っているのだと推測します。
したがって、子育て中に外で食べ物探しの行動を取ることを警戒します。
つまり、食べ物を十分に貯蔵することができなくて、近くに十分な食べ物が無ければ、 母ハムスターはとても心配します。

≪食べてしまう≫

そして、いよいよ、子供たちを育てるだけの食べ物を確保することができないと判断した時には、 子育てを断念して、自分の子供を食べてしまいます。
本能と習性とは言え、母親にとっては苦渋の選択のはずです。
実は、毎日決まった量の食べ物を与えている母親にも、子供を食べてしまう例が報告されています。
飼い主目線では『毎日あげているから、心配ないのに、、』ですが、
ハムスター目線では『今日もらえた食べ物が明日も必ずもらえると言う事を知らない』かもしれません。 『子供たちのために沢山必要なのに今日はこれしかなかった!!』と思ってしまうかもしれません。
母ハムスターの頬袋は、子供たちのためにあるのです。

【防止方法】

『地下型の巣箱』方式は、ハムスターが巣穴の三大習性の行動ができるようにしています。 この一つが、【食べ物を貯蔵する行動】の為の貯蔵室です。
特に、母ハムスターには貯蔵したいだけ貯蔵させてあげることで、この事故を防止できます。
母ハムスターが食べる分くらいは回りにあることから、 母ハムスターが空腹で子供を食べるのではないということが証明できます。

A母ハムスターが子供を食べてしまうもう一つの原因は、


A大きな危険を感じた時です。
母ハムスターは最も安全だと認識している、『地下型の巣箱』の 巣穴から最も奥の大部屋を育児室に選びます。
この育児室に敵の『侵入』があって『子育てを続けることができない』と判断すると、、 やはり、子育てを断念して、自分の子供を食べてしまいます。
このときの『侵入』とは、飼い主が『透明な観察板』を開けることです。

【防止方法】

飼い主と仲良くなっている母ハムスターなら、 つまり、飼い方Uのステップ11以降でコミュニケーションが取れてから、出産・子育てをするなら、 この様なことは起こりません。

母ハムスターの子育て行動を、『透明な観察板』越しに、いつでも自由に観察することができます。

ステップ10以前での出産・子育ては厳禁です。
止むを得ない場合は、母ハムスターには一切関わらない、あるいは覗かないことです。
子育ては、母ハムスターが全てやります。
飼い主の手出しは無用です。

『地下型の巣箱』方式以外の飼い方の場合も、同様に、飼い主に馴れていない母ハムスターの場合には、 子育て中にはそっとして置いてあげるのが一番です。

【共食いに関する『地下型の巣箱』の考察】

ハムスターの共食いは、人為的なものです。
ハムスターの本能と習性を知って飼育すれば、共食いを防ぐことができます。


ハムスターのように縄張りを強く主張する動物は沢山います。
縄張りを守る為に争いが起きます。
しかし、多くの場合、この争いで相手の命まで奪ってしまうことはありません。
弱い方が引き下がることで争いが治まるからです。

※サルの争いでは相手を殺して食べてしまうシーンを見たことがありますが、、、。
しかも、ゲッシ目であるハムスターは、相手を深く傷つけるような武器=牙などを持ちません。
これらのことから、自然界では、ハムスターは縄張り争いで、相手を殺してしまうようなことは無い、と推測できます。


母ハムスターの場合も飼い主が注意することによって防ぐことができます。
母ハムスターの子育て中の心理は最高度の緊張状態です。
しかも、子育ての全工程を母ハムスターがそれはそれは感動的にこなしてしまいます。
人の手出しは無用です。
飼い主に良く馴れた母ハムスターなら、『透明な観察板』越しに子育てシーンの全てを見せてくれます。


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