ハムスターの餌の与え方。ハムスターの食べ物の正しい与え方のページです。

『地下型の巣箱』のハムスター


ハムスターの餌の与え方。ハムスターの食べ物の正しい与え方のページです。

≪このページの要約≫
【ハムスターは食べる質も量も刻々変化する】
 餌の量を決める給餌方法が、大きなストレスをハムスターに与えることがあります。
このストレスが、時には血が出るほど噛む原因になっている場合がありますし、鬱積すれば健康を害する場合もあります。
 その理由は、ハムスターは人と同じように、少年期、青・壮年期、高齢期で、食べるものも量も大きく変化するからです。
さらに、秋には冬に備えて体力をつける食べ方をします。

【変化に対応するのは不可能】
 もし、育ち盛り、食べ盛りの時期を見誤って、餌の量が少なかったとしたら、成長を阻害するし、食に関わる強いストレスを与えてしまいます。
 このように、成長過程で刻々変化する必要量に合わせて給餌するのは、ほぼ、不可能です。

【簡単に解決できます】
 これを解決したのが『地下型の巣箱』方式の給餌方法です。
解決策は、【必要なものを必要なだけ食べる】という能力を発揮させて、何をどれだけ食べるかをハムスター自身に決めさせることです。




  1. 正しい与え方は§4.正しい給餌方法 です。先に進んでいただいても大丈夫です。ここからどうぞ。


【目次】
  1. §1.成長に合わせて食べるものも量も変化します。
  2. §2.速いテンポで進むハムスターの一生。
  3. §3.成長の速さに合わせて食べ物を与える難しさ。
  4. §4.正しい給餌方法
  5. §5.食べ続けなければ死んでしまうハムスター。
  6. §6.旧来の飼い方では、ブュッフェ方式は使えません。


§1.成長に合わせて食べる物も量も変化します。

● 食べる物と量が変化します。

  1. ハムスターの食べ方を良く観察すると、
食べる物も、食べる量も1年間のうちに大きく変化して、決して一定ではないことが分かります。
 

● 成長に合わせて食べるものも量も変化するのは当たり前のことで、人もハムスターも同じです。

 人は、
育ち盛りの時にはお代わりをしてお腹いっぱい食べます。
青年・壮年期にはしっかり食べて、仕事をします。
高齢になると、量は減っても栄養バランスの良い食べ方が求められます。
 ハムスターも人と同じです。
ただ、ハムスターの場合は、一生がおよそ2年ですから、この変化がとても速いということを知ってあげる必要があります。

§2.速いテンポで進むハムスターの一生。

● 寿命が短いのではなく、進み方が100倍も速いハムスターの一生

 産まれて3週間ほどで巣立つ準備ができて、2か月も経つと逞しい大人の体格になりますのでこの時期の成長の速さは人の100倍ほどです。妊娠期間は3週間ほどですから人の15倍もの速さです。
 

● ゾウの時間ネズミの時間

 この速さを、動物生理学の本川達雄理学博士が、ゾウもネズミも一生の心拍数は同じく20億回だということを『ゾウの時間ネズミの時間』という著書(下記の写真)で説明しています。
ゾウの時間ネズミの時間
今本屋さんに並んでいるのは、表紙が新しい絵になってます。
ゾウの時間ネズミの時間
ハムスターのおよそ2年というのは、寿命が短いのではなく、速いのだということ。
食べ方を見比べても、ハムスターのより食事の方が、ゾウの100倍ぐらい速そうです。
私たちが一生の間に経験することを、ハムスターはほぼ2年に凝縮しているということでしょう。
ハムスターから見ると人の一生は超スローモーションのように見えているのかもしれません。


● ここまで知っておくべきことは、ハムスターも人と同じように、成長の段階毎に食べる物も量も変わるということです。そして、成長の速さが人の100倍も速いということです。


§3.成長の速さに合わせて食べ物を与える難しさ。

 ハムスターの成長の速さに合わせて、その時期に合った食べ物と量を食べさせることが理想の給餌です。
しかし、

● しかし、ハムスターの成長を考慮した餌の与え方の説明は、飼育の本やSNS情報のどこにも見当たりません。

  人の場合であれば、年齢や体重、男女別などに適したカロリー、必要な栄養素など、正確かつ豊富な情報があります。
これは、医師や栄養士など多くの専門家が関って導き出された信頼正の高い情報です。
  ペットの犬の場合にも、幼犬、成犬、老犬の年齢に合わせた餌が用意されています。ペットフードの袋には体重毎に与える量の参考値が添えられています。これも、メーカーの研究や獣医さんなどの専門家によって導き出されたものです。

しかし、ハムスターの食べ物についてのこれらの情報は全くありません。

さらに、食べ物が採取できなくなる冬に冬眠をしないので、秋にたくさん食べて体重を増やす行動と、冬の間に食べる食べ物を貯蔵するハムスター特有の行動があります。

これらの食べる行動を考慮した、 信頼できる情報が無いのに、
「ペレットは一日○○グラムが良い」とか、
「ヒマワリの種は一日3個まで」とか、
「体重○○グラム以上は肥満」など、
物と量を制限した「餌の与え方」の情報が見受けられます。
これらの情報は何を根拠にしているのでしょうか?

● 誤ったデータで給餌することによって、ハムスターに及ぼす危険。

●もし皆さんのハムスターが食べ盛りの時であったら、制限は成長を阻害します。そして、食べ物の不足は、心理面に大きなストレスを残します。
食べ物が少ないストレスはハムスターにとって命に係わる大きなストレスになります。
秋に食べ物が少なければ、これも大きなストレスになります。

ハムスターの健康を害する大きな要因がストレスであることはわかっています。

 

ではどうすれば良いか?

§4.正しい給餌方法

●【必要なものを必要なだけ食べる】という【本能と習性】を発揮させてあげれば良いです。

誰でも簡単に発揮させることができます。発揮させる飼い方はこちらにあります

 ハムスター自身が自分の成長過程に合った、必要なものを必要なだけ、本能で食べますから、色々な食べ物を置いてあげて、ハムスターが選べるようにしてあげるだけで良いです。

● ブュッフェ方式です。

 そして、何を食べたかを良く観察してあげれば、ハムスターが今何を必要としているかを知ることができます。

● 自然界の動物たちには、【必要なものを必要なだけ食べる】という【本能と習性】が備わっています。

 ライオンが肥満にならないのも、食べ放題の草原のシマウマが肥満にならないのも、鳥が飛べなくなるほど太らないのも、【必要なものを必要なだけ食べる】という【本能と習性】がちゃんと働いているからです。

● この【本能と習性】は、ペットの全てのハムスターに備わっていて潜在しています。

● 【必要なものを必要なだけ食べる】という【本能と習性】が潜在しているのですから、これを顕在化してあげれば良いのです。

顕在化は?

● ストレスのない生活をさせてあげれば顕在化します。

ストレスの無い生活とは?

1.敵に襲われる心配のない安全な寝室で安眠・熟睡できること。
2.十分な量の食べ物が貯蔵できていること。
3.トイレ室のある自分の家があること。
つまり、『巣穴の三大習性』の行動が実現できていることです。

詳しくは、特徴と効果屋、『巣穴の三大習性』などを参考にしてください。

 【必要なものを必要なだけ食べる】ハムスターだから、ブュッフェ方式との組み合わせが効果を発揮します。
成長期には栄養価の高いものをモリモリ食べて逞しくなります。
体重が60gを超える時もあります。
その後落ち着いて50g前後になります。
 

§5.食べ続けなければ死んでしまうハムスター。

 ハムスターの食べ方を良く観察すると、
いつも食べている様に見えます。
寝ている時にも起きだして食べているのが、『地下型の巣箱』の中の音で分かります。
時には寝ぼけ眼で食べていることもあります。
これを見て、食べ過ぎを心配する方は、まずは、、、。

● ハムスターの消化器の仕組みを知ってあげましょう。



(以下、実験動物学 米田嘉重郎博士 朝倉書店 などを参考にしました)

① 食い溜めができない胃

ハムスターの胃は前胃と後胃のの二つに分かれている。前胃は食道の延長で小さく、食い溜めすることができない。

② ほぼ一時間で消化する胃

ハムスターの胃の消化停滞時間はほぼ1時間であり、速い。

③ 2日食べないと餓死

同じネズミの仲間では、食い溜めができないために、2日間の絶食で餓死する場合もある(ネズミ)。


 以上から、一日2回などと時間を決めて給餌すればよい犬や猫は、胃の中に収めてゆっくり消化する食い溜め型ですが、ハムスターは胃が小さく、しかも1時間で消化するので、お腹いっぱい食べて、昼間は寝ているなんて言うことが本当は出来ないのです。少しずつを、常に食べている必要があるからです。そのための頬袋でもあります。

以上のことから、時間を決めて一日に二度あげるなどの犬や猫の給餌方法は、ハムスターには当てはまらないばかりでなく、食べられない時間が長ければ発育にも健康にも害があり、強いストレスを鬱積させてしまいます。


 

§6.旧来の飼い方では、ブュッフェ方式は使えません。

● 旧来の飼い方のハムスターにはブュッフェ方式は使えませんので、ご注意ください。


【過食=リバウンド】
 ここでご案内している飼い方は、旧来の飼い方の餌の与え方のSNS情報とは真逆の方法ですから、全くなじめない方がいらっしゃるはずです。
 そもそも、過食や肥満が起きるから与える量を調節しているのですから、ブュッフェ方式では、反動で過食を誘発してしまうでしょう。もってのほかということになります。
 ただし、それは、旧来の飼い方のハムスターの場合には、、、ということです。

【肥満や糖尿病の情報?】
 旧来の飼い方をされている方のSNS情報には、過食・肥満の他に、糖尿病や高脂血症などの報告もあります。
自然界のハムスターにはありえない症状でしょう。
 旧来の飼い方の実績のない私には信じがたいことですが、これらのSNS情報から、旧来の飼い方ではストレス食いが起きやすく、それが病気の一因になっているのではないかと推測しています。

【噛むのもストレス】
実は、旧来の飼い方からのご相談で最も多いのが、『血が出るほど噛まれる』というものです。
飼い主に血が出るほどの噛みつき方をするハムスターは、深刻なストレス状態であることがほぼ確実です。
そして、そのストレスの原因の一つが、

食べ物を制限されていることです。
食べ物のストレスを解消してあげると噛まなくなることから、そのように推測しています。


≪参考ページ≫
ハムスターは肥満になりません
ハムスターの餌の与え方、貯蔵行動
噛むハムスターの治し方などを参考にしてください。