ハムスターのストレス
この項は、ハムスターのストレスについての考察を述べます。
警戒中のハムスター
≪ストレスに着目≫
ペットのハムスターが「病気になった」とか
「突然死んでしまった」という報告をいただき、そうなった状況を調べた結果、
ストレスが原因になっていると思われる多くの例がありました。
そこで、ハムスターの病気・ハムスターの突然死とストレスとの関係に着目し研究いたしました。
≪ハムスターもストレスで病気になる≫
人は、強いストレスが続くと健康を害し、消化器系の病気になったり、脱毛したりします。
ハムスターの消化器系の病気や皮膚病などが、人のストレスの症状ととても似ていることに着目しました。
ハムスターも、強く大きなストレスを長期間受けているとすれば、健康を害するはずです。
特に、野生の動物を人が飼育する場合には、様々なストレスが生じるはずです。
この視点から、ハムスターがどんなときにどのようなストレスを感じているかを詳しく観察した結果、
ハムスター独特の【ストレス源】があることを見つけました。
この【ストレス源】については、あとの項で詳しく説明いたします。
ここでは結論から先に報告いたします。
≪ストレス消化の試み≫
この【ストレス源】から発生するストレスを消化させる対策をした飼育環境と飼育方法を整えてあげた結果、
その効果はめざましく、ストレス症状が消えて、ハムスター達は、活き活き健康に育つようになりました。
≪研究の結果わかったこと≫
⇒ハムスターは、【警戒システム】である【ストレス源】を持っている。
⇒この【警戒システム】の【ストレス源】がハムスターの体内に極めて強烈なストレスを発生させる。
⇒この【警戒システム】は、ハムスターにとって、身を守るための必須であり、本能であるために、個体差が無く、
全てのハムスターが持つ。
⇒この【警戒システム】は、ハムスターが巣穴の外、つまり地上に出ているときに限って必ず稼働する。
⇒ハムスターは巣に戻って、【警戒システム】のストレス状態を解いて、
リラックスして安眠・熟睡することによって、
このストレスを消化・解消して、心のバランスを保っている。
≪心のバランスを保つ方法は人と似ている≫
このことは、人が、通勤や会社の緊張状態の中でストレスを溜めても、家に帰ってリラックスし、
温かい寝床で安眠・熟睡してストレスを解消して、元気に朝を迎える、という生活パターンととても良く似ています。
安全な巣穴の中に入ると安心するのは、家に帰って安心する人と同じです。
≪ストレスと病気の関係≫
ペットのハムスターがこのストレスで病気になったり、時には死んでしまったりするのは?
従来の飼育環境に大きな欠陥があり、その欠陥が、
ストレスを蓄積させている原因であることが解りました。
⇒従来の飼育環境(飼育ケージ)は、ハムスターの視線から見た巣穴が無い。
⇒したがって、ハムスターは、自分はずっと巣穴の外、つまり地上に居ると感じてしまう。
⇒したがって、【警戒システム】が途切れることなく働き続けるので、
ストレスに曝され続けることになる。
⇒ストレスを消化するためにリラックスする家(※1)がない。
という欠陥。
⇒ストレスは次第にハムスターの心の中に蓄積する。
⇒心のバランスを保てなくなる。
⇒病気になる。
(※1)家:従来、【ハムスターの家】として与えられている【モノ】はハムスターから見れば家の機能を持っていないこと。
せいぜい地上で身を隠す機能しかないこと。自然界の【ハムスターの家】が地下にあって、複数の部屋で構成されていることは、
今では誰もが知っていることです。
≪ハムスターのストレス兆候≫ 心のバランスを失っている兆候、
ストレスが蓄積した兆候は、
次のように段階的にハムスターの行動に現れます。
【初期段階】
●意味の無い反復行動を一心に続けます。
●ケージなどをかじり続けるなどの奇行が見られます。
●人を噛みます。
ストレスの無いハムスターにはこれらの症状はありません。 正常なハムスターは人を噛みません。
【重度】
●偏食・過食になります。
●肥満になります。
もともと本能に備わっている〔必要なものを必要なだけ食べるという仕組み〕が壊れます。
【危険】
●下痢などの症状が現れます。
●毛が抜ける症状や皮膚病が現れます。
●口の周り、目の周りなどに炎症が見られます。
消化器や皮膚などの病気・細菌・寄生虫などに対する抵抗力が低下します。
〔お願い〕ハムスターの病気については、ストレスが原因ではないものもあります。
専門の獣医さんの診断に従ってください。
≪改善・対処方法≫
これらのストレス兆候は、良く観察していれば、【初期段階】で気づくことができます。
初期の段階で対処してあげれば、早い回復が見込めます。
対処方法は、飼育ケージに【地下の生活環境】=家を整えてあげて、ハムスターが安眠・熟睡できるようにして、
心のバランスを保たせてあげることです。
飼育ケージに【地下の生活環境】=家を整えてあげることで、
ハムスターはストレスを自分で消化することができ、心のバランスを保ち、健康な生活をするようになります。
このときのハムスターは、無防備な寝姿など、明らかにリラックスしていることが誰にでも解る姿を見せてくれます。
安眠・熟睡がストレス解消のキーワードです。
ハムスター独特の【ストレス源】の解明
命に関わるほど強烈なハムスターのストレスを解明する
それは、野生のハムスターの生態を詳しく知ることで解明することができました。
ハムスターの本能と習性に基づくストレスでした。
≪食べられてしまう危険≫
ハムスターは食物連鎖の、もっぱら食べられる側にいます。
しかも、捕らえられたときに戦い・逆襲する手段を持っていません。
したがって、フクロウなどの捕食者に見つかったら逃げるしかないのです。
しかし、敏捷な捕食者から逃げ切れる早さがありませんから、
逃げ込む巣穴が近くに無い限り、見つかったらまず食べられてしまいます。
捕食者にとってハムスターを見つけたらそれは走るご馳走に見えることでしょう。
≪それでも出て行く逞しさ≫
生きるために、それほどに危険な地上に、ハムスターは出て行かなければなりません。
危険な捕食者に襲われるかもしれないのに、それを承知で出て行かなければなりません。
そして、絶対に見つからないように行動しなければならないのです。
巣穴に子供たちを残した母ハムスターが、自分の命を運任せにするわけにはいかないのです。
無鉄砲な勇気だけでは食べられてしまうだけです。
身を守るシステムがあるはずです。
では、この危険がいっぱいの荒野で食べ尽くされずに生き延びることができている、
ハムスター達の身を守るシステムとは?
敵を先に見つけるという高性能で【完璧な警戒システム】
≪高性能である≫
見つからないためには、敵より先に敵を見つけて隠れなければなりません。
しかも、先に敵を見つけることは1,000回に1回の失敗も許されません。
一生に一度の失敗も許されないはずです。
なぜなら、たった一回の失敗で食べられてしまうからです。
確実に、先に敵を見つけるという、【完璧な警戒システム】を持っているということの確かな裏づけは、
ハムスターが食べ尽されずに繁栄していることが何よりの証です。
≪全てのハムスターが備えている≫
そして、この【完璧な警戒システム】は、全てのハムスターに備わっているということが分かります。
なぜなら、警戒を怠ったり、警戒が下手なハムスターが居るとすれば、
そのハムスターは食べられてしまうわけですから、
もしそのようなハムスターが居たとしても、子孫を残せないからです。
捕食者は、警戒システムが衰えたハムスターを主に捕らえているのだろうと推測出来ます。
つまり、ハムスターにとっての【完璧な警戒システム】は、
全てのハムスターのDNAの中に備わっているのです。
最高度の緊張状態=ストレス状態
この【完璧な警戒システム】を働かせるためには、
聴覚・視覚・臭覚などハムスターの全身の警戒センサーをフル稼働させなければなりません。
少しの音にも危険が潜んでいないか?
視界に入る全てのものに危険の兆候はないか?
敵の臭いはしないか?など、
ハムスターにとって最高度に緊張している状態で正確に働きます。
つまり、一瞬も気を緩めることを許されない最高度の緊張状態にあるからこそ正確に機能するのです。
そして、この【完璧な警戒システム】は、うっかりしたスイッチの入れ忘れも起きません。
安全な巣穴から、ひとたび外【地上の生活環境】に出たら、本能によって自動的にスイッチが入ります。
たべものを探し・見つけて・頬袋に詰め込んで急いで持ち帰る間、結婚相手を探す間も、安全な巣穴に戻るまで、
この緊張状態は持続します。
【完璧な警戒システム】機能中のハムスター
ハムスターが巣穴から外、つまり【地上の生活環境】に出ているときには、周りは天敵だらけです。
特にフクロウなど夜行性の猛禽類は、空から突然襲ってくる恐ろしい存在です。
したがってハムスターは、敵に遭遇する前に自分の方が先に気付いて隠れるしか生き延びる方法がありません。
ハムスターの眼が上向きについているのは上空を警戒するのに都合が良いためだと言う説に納得します。
「上から掴まないようにしましょう!」という注意書きがどの飼育書にも見られる通り、
ハムスターにとって自分を上から掴んでくるものは「自分を食べる恐ろしい敵!」
と認識する本能があることを知っておくことが大切です。
【上写真】
【実験と観察1】これは、隠れるところがない草原に放したハムスターです。
背を低くして、耳を立てて、眼を見張って【完璧な警戒システム】が働いていることが分かります。
最高度に緊張した様子が観察できます。
この姿はとても強いストレス状態を表しています。(皆さんはこのような実験はしないでください)
ハムスターは【地上の生活環境】に居るとき、最も強いストレス状態にあります。
ハムスターにとって【地上の生活環境】は、いつ命を落とすかもしれない、極めて危険な場所であり、かつ、
生きていく為には出て行かなければならない、絶対に必要な場所でもあります。
このように、ハムスターは【地上の生活環境】に居るときは、本能で最高度の警戒レベルを維持しています。
巣穴の外に出ているときが最高に緊張しているときであり、最も強いストレスに曝されているときなのです。
【左写真】
【実験と観察2】敵がいなくても、上空を警戒する行動を頻繁に繰り返している様子です。
ペットとして、毎日安全に暮らしていて、敵のことなど学ぶ機会がなかったのに、
誰からも教えてもらわないのに、
草原に放したハムスターからは、最大級の緊張状態で警戒態勢をとる野生の本能がほとばしるように感じ取れます。
実験の結果、写真のようにペットのハムスターにも、野生のハムスターと同じように、
自動的に警戒態勢になる本能がしっかりと受け継がれていることがわかっています。
異常な音や振動に反応して瞬時に避難行動をとるのは、この警戒機能が正しく働いているからです。
≪ハムスターは臆病な動物ではない≫
たくさんのホームページが、ハムスターを【臆病】と表現しています。
間違っています。
●少しでも危険を感じたら素早く身を隠します。
●危険を感じている間は姿を現しません。
これは、【完璧な警戒システム】が働いているときのハムスターの正常な行動です。
この行動は、一見して、臆病な行動に見えますが、間違った解釈です。
敵だらけの原野を一晩に10キロ以上も走り回るハムスターは、勇敢です。
ペットのハムスターが賢く勇敢であることは、良く観察すれば皆さんにも分かります。
臆病では決してありません。
【完璧な警戒システム】を持ったハムスターの行動を見て、[臆病]と解釈してしまうと、
対策を間違えてしまいます。
優しく接したつもりでも、警戒中のハムスターをさらに警戒させてしまいます。
楽しくコミュニケーションをとって、仲良くなることが、ますます難しくなってしまいます。
≪まとめ・ハムスターのストレスについて解明できたこと≫
●巣穴の外に出たときに、【完璧な警戒システム】が自動的に作動する。
●この【完璧な警戒システム】は最高度(※2)の緊張状態をハムスターに強いる。
●これが【ストレス源】である。
●このストレスは、ハムスターが地上に居る間は一時も中断することなく持続する。
●ハムスターは、巣穴(家)に戻って、リラックスして、
安眠・熟睡することによってこのストレスを解消することで、心のバランスを保っている。
●ただし、飼育ケージに巣穴(家)の無いハムスターは、ストレスを解消することが出来ず、ストレスを蓄積する。
●ストレスが蓄積すると、心のバランスを崩し、病気になる。
(※2)巣穴の外に出たハムスターは、【完璧な警戒システム】を正確に働かせ、敵を警戒しながら、
本来の目的である、食べ物を探し持ち帰る。
縄張りを維持する。交尾のための相手を探し選ぶ。などを行うわけですから、
地上に居るときのストレス量が相当なものであることがわかります。
もし、ハムスターの心拍数や血圧を測り知ることが出来たとすれば、寝床で
安眠・熟睡しているときと比べて相当な緊張状態であることが実証できることでしょう。
ストレスによる病気を防止する方法
⇒飼育環境に【地上の生活環境】と【地下の生活環境】の二つの生活環境を備えた飼育環境で飼育する。
⇒【地下の生活環境】はハムスターにとって地下の巣穴であり、リラックスして安眠・熟睡ができる家である。
⇒これによって、【地上の生活環境】で蓄積したストレスを【地下の生活環境】で消化するというバランスが保たれて、
ストレスが蓄積しない、健康な生活が出来る。
⇒【地下の生活環境】として、『地下型の巣箱』が開発され、
【地上の生活環境】と【地下の生活環境】を備えた飼育環境が完成した。
この項では、ハムスターを病気にしてしまうストレスについて述べました。
この他に、ハムスターには下記の幾つかの【ストレス源】があることがわかりました。
1.趨触(すうしょく)性によるストレス
2.食料貯蔵量不足によるストレス
3.人との関わりによるストレス
4.温度・縄張り・猫などの存在・などによるストレス
この中でも特に重要なのが、食料貯蔵量不足のときのストレスです。
母ハムスターがせっかく産んだわが子を食べてしまうことがあるのは、このストレスが大きく関わっています。
このことは別の項で詳しく述べます。
〔文責〕
この項に記載した内容は、当『地下型の巣箱』のホームページの管理者が
実名のもとに責任を持って記載したものです。
高品質の情報を、ハムスターの飼育者に、読者の皆様に、提供するために、 この項の信頼性をさらに高めるために、
動物学など専門的立場の方の検証をいただけると光栄です。
〔転載可〕
2009年12月末日現在、
ハムスターのストレスに関して本項記載の内容に類した文書を、ホームページ、書籍、論文などに見つけることが出来ませんでした。
ハムスターの飼育環境の向上のために、ハムスターを健康に飼育するために、転載していただくことを可といたします。
次へは、本文を通してお読みいただけます。
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